
「はじめに」
大切なご家族を亡くされたあなたへ
ご家族を亡くされた悲しみの中で、遺品整理という大きな問題に直面されていることと存じます。
故人様との思い出が詰まった品々を前に、何から手をつけて良いのか、どのように進めていけば良いのか、途方に暮れていらっしゃる方も少なくないでしょう。
遺品整理とは、単に故人様の持ち物を処分する作業ではありません。
故人様が生きてきた証を整理し、供養し、そして残されたご家族が新たな一歩を踏み出すための大切な区切りでもあります。
しかし、精神的な負担に加え、時間や体力、そして費用の問題も伴うため、一人で全てを抱え込むのは非常に困難です。
この記事では、遺品整理を業者に依頼する際の費用相場を2025年最新版として詳しく解説し、適正価格を見極めるためのポイント、そして後悔しない業者選びのコツをプロの視点からご紹介します。
この記事を最後までお読みいただくことで、遺品整理に関する不安を少しでも解消し、安心して故人様と向き合うための一助となれば幸いです。
1. 遺品整理の費用相場【2025年最新版】
遺品整理の費用は、様々な要因によって大きく変動します。
ここでは、一般的な費用相場と、費用を左右する要素について詳しく解説します。ただし、これらの金額はあくまで目安であり、個別の状況によって大きく異なることをご理解ください。
間取り別の費用相場
遺品整理の費用は、主に作業時間、作業員の人数、遺品の量、搬出経路の状況などによって決まります。
間取りはこれらの要素を推測する上で最も一般的な指標となります。
一般的に、1R・1Kのような単身者向けの間取りであれば30,000円から100,000円程度が費用の目安となるでしょう。作業員は1~2名で半日~1日程度の作業が想定されます。
1DK・1LDKでは80,000円から250,000円、作業員は2~3名で1日から1.5日程度の作業が見込まれます。
2DK・2LDKになると、費用は150,000円から400,000円、作業員は2~4名で1.5日から2日程度の作業が一般的です。
さらに広い3DK・3LDKでは250,000円から600,000円が目安となり、作業員は3~5名、作業期間は2日から3日程度を要するでしょう。
そして、4DK・4LDK以上の広い間取りや、特に荷物が多い場合は、400,000円から1,000,000円以上かかることも珍しくなく、作業員は4名以上、作業期間も複数日にわたる可能性があります。
【2025年版の補足】
近年、人件費や運送費の高騰、廃棄物処理費用の増加傾向により、全体的に費用が上昇傾向にあります。
特に、リサイクルが進まないものや、処分に手間がかかる特殊な品物が多い場合は、その傾向が顕著になる可能性があります。
遺品の量や状態による費用変動
上記の間取り別費用はあくまで目安です。
実際には、同じ間取りでも以下のような要素で費用は大きく変動します。
まず、遺品の量が多い場合です。
一般的に、物が多いほど分別・梱包・搬出・処分に時間と労力がかかります。
いわゆる「ゴミ屋敷」状態になっている場合は、費用が大幅に増加します。次に、大型家具や家電が多い場合。
重量物の搬出には、より多くの作業員や特殊な機材が必要になる場合があります。
また、リサイクル家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)の有無も費用に影響します。
これらは家電リサイクル法に基づき、リサイクル料金と収集運搬料金が別途発生します。
貴重品や形見分けの品が多い場合は、慎重な分別作業が必要となるため、作業時間が増加し、費用が高くなる可能性があります。
さらに、遺品の保管状態が悪い場合、異臭、カビ、害虫の発生などがある場合、特殊な清掃や消臭作業が必要となり、追加費用が発生します。
最後に、賃貸物件で原状回復が必要な場合です。
遺品整理後のハウスクリーニングやリフォームが必要であれば、その費用が加算されます。
特殊作業(貴重品探索、清掃、消臭など)による追加費用
遺品整理では、一般的な作業以外に、以下のような特殊な作業が追加費用として発生することがあります。
貴重品探索・捜索
故人様の遺言やご家族の希望に基づき、特定の貴重品(現金、貴金属、権利書、印鑑、通帳など)を丁寧に捜索する作業です。
非常にデリケートな作業であり、通常の分別作業よりも時間がかかります。
特殊清掃
孤独死などで遺体の発見が遅れた場合など、通常の清掃では対応できない特殊な汚れや臭いを除去する作業です。
専門的な知識、技術、機材が必要となり、費用は高額になる傾向があります。
消臭作業
ペットの臭いや長年の生活臭、特殊清掃を伴うような悪臭の除去作業です。
オゾン脱臭機など専門機材を使用し、複数回の作業が必要になることもあります。
害虫駆除
ゴキブリやハエ、ダニなどが発生している場合、駆除作業が必要になります。
遺品供養
故人様の愛用していた品々や思い出の品を、お寺などで合同供養や個別供養を行うサービスです。
供養料が別途発生します。
ハウスクリーニング
遺品整理後の一般的な清掃です。
業者によっては基本的な清掃が含まれる場合もありますが、専門的なハウスクリーニングはオプションとなることが多いです。
リフォーム・解体
遺品整理後に物件の売却や賃貸を考えている場合、内装のリフォームや建物の解体まで一貫して依頼できる業者もあります。
これらの特殊作業は、専門的な知識と技術、そして専用の機材が必要となるため、通常の遺品整理費用とは別に、数万円から数十万円、あるいはそれ以上の費用が発生する可能性があります。
2. 遺品整理の費用を構成する要素
遺品整理の費用は、いくつかの要素が複合的に組み合わさって算出されます。
これらの内訳を理解することで、見積もりの適正性を判断しやすくなります。
人件費
遺品整理の費用の中で、最も大きな割合を占めるのが人件費です。
作業員の人数と作業時間によって算出されます。作業員の人数は遺品の量や作業内容に応じて変動し、作業時間は搬出経路の状況(エレベーターの有無、階段の段数、トラックの駐車場所からの距離など)、遺品の分別にかかる時間、清掃の有無などによって変動します。
休憩時間や移動時間も人件費に含まれる場合があります。
専門的な知識を持つ遺品整理士や、特殊な作業を行う作業員は、一般的な作業員よりも人件費が高くなる傾向があります。
運搬費
整理された遺品を搬出・運搬するための費用が運搬費です。
遺品の量に応じて必要なトラックの大きさと台数が決まります。
大型トラックや複数台のトラックが必要な場合は費用が高くなります。
また、作業場所から処分場までの距離によるガソリン代や高速道路料金、作業中に有料駐車場を利用する場合の駐車料金も含まれます。
処分費
遺品の中から不用品として処分されるものの費用が処分費です。
一般ゴミ、粗大ゴミ、家電リサイクル品、産業廃棄物など、廃棄物の種類と量によって処分費用が異なります。
特に、家電リサイクル品は別途リサイクル料金がかかります。
焼却、埋め立て、リサイクルなど、処理方法によっても費用は変動します。
一部の業者では、買い取り可能な品物を査定し、遺品整理費用から差し引くことで総額を抑えるサービスを提供している場合もあります。
車両費
作業に使用する車両(トラック、バンなど)のリース費用や維持管理費用などが含まれる場合があります。
運搬費と重複することもありますが、見積書上では別項目として計上されることもあります。
オプション費用(供養、ハウスクリーニング、リフォームなど)
前述したように、遺品整理の基本作業以外に依頼するサービスに対する費用です。遺品供養は宗教的な儀式を伴う供養や、合同供養、個別供養などがあります。ハウスクリーニングは遺品整理後の室内の清掃で、通常の清掃レベルから専門的なクリーニングまであります。
リフォーム・原状回復は賃貸物件の場合や、売却・賃貸を目的とする場合に、壁紙の張り替え、床の修繕、水回りのクリーニングなどを行う費用です。
その他にも、庭木の剪定、不用品の買い取り、形見分け品の配送手配などもオプションとして提供されることがあります。
これらのオプション費用は、個々の業者によって提供内容や料金設定が大きく異なるため、見積もり時に詳細を確認することが重要です。
3. 適正価格を見極めるためのチェックポイン
遺品整理の費用は高額になることもあり、適正な価格でサービスを受けるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
見積もりは複数社から取る
最も重要なポイントの一つです。1社だけの見積もりで即決することは避け、最低でも3社程度の業者から見積もりを取りましょう。
複数の見積もりを比較することで、相場感が掴め、不当に高額な業者や、逆に安すぎる業者(後で追加費用を請求される可能性も)を避けることができます。
見積もりの内訳が明確か
見積書の内容は、業者によって様々です。
しかし、信頼できる業者は、以下のような項目が明確に記載されています。
基本料金
作業員の人件費、車両費、運搬費などが含まれる基本料金。
処分費用
廃棄物の種類ごとの単価や、全体の処分費用。家電リサイクル品などの特別料金も明記されているか。
オプション費用
依頼したオプションサービスごとに料金が明記されているか。
その他費用
駐車場代や特殊作業費など、発生しうる費用が明確か。
「遺品整理一式」といった曖昧な表記や、総額しか記載されていない見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクがあるため注意が必要です。
追加費用の有無と説明
見積もり段階で、追加費用が発生する可能性のある項目(例:エレベーターのないマンションで階段作業が必要な場合、予定よりも遺品が多かった場合など)について、事前に詳しく説明があるかを確認しましょう。
口頭だけでなく、見積書や契約書にその旨が明記されているとより安心です。
「追加費用は一切かかりません」と断言する業者もいますが、予期せぬ事態が発生することも考えられます。
万が一の際の対応についても、事前に確認しておくことが大切です。
実績と経験が豊富か
遺品整理は、故人様の尊厳に関わるデリケートな作業です。実績と経験が豊富な業者であれば、様々な状況に対応できるノウハウを持ち、トラブルなくスムーズに作業を進めることが期待できます。
創業年数や年間作業実績を確認したり、お客様の声や評判を参考にしたりすることで、信頼性を判断できるでしょう。
公式サイトだけでなく、第三者サイトの評価も確認すると良いでしょう。
遺品整理士の資格保有者がいるか
「遺品整理士」は、遺品整理に関する専門知識と適切な処理方法を身につけた者に与えられる民間資格です。
この資格を保有している作業員が在籍している業者は、遺品に対する敬意を持ち、適切な手順で作業を進めることが期待できます。
資格の有無だけで判断することはできませんが、一つの目安として確認すると良いでしょう。
アフターサービスは充実しているか
遺品整理が終わった後も、疑問点や困りごとが出てくる場合があります。
アフターフォロー体制が整っているか、作業中に万が一物品の破損などが発生した場合に損害賠償保険に加入しているか、故人様の個人情報が含まれる書類などの適切な取り扱いについて説明があるかなども確認しておきましょう。
これらの点も、契約前にしっかりと確認しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して依頼することができます。
4. 遺品整理業者選びで失敗しないための注意点
残念ながら、遺品整理業界には悪質な業者も存在します。
大切な故人様の遺品を預ける上で、失敗しないための注意点を把握しておきましょう。
安すぎる業者には要注意
「格安」「激安」を謳う業者には特に注意が必要です。
見積もり段階では非常に安価な提示をしておきながら、作業後に高額な追加料金を請求するケースが後を絶ちません。
内訳が不透明
費用が異常に安価で、その内訳が不明確な場合は注意が必要です。
急な契約を迫る
「今すぐ契約すれば割引します」などと、即決を迫る業者も危険です。
見積もりなしで作業を始める
見積もりなしで作業を始める業者は論外です。
必ず事前に見積もりを取得し、内容に納得した上で契約しましょう。
適正価格を提示できる業者は、それなりの人件費や処分費、運搬費がかかっています。
極端に安い見積もりは、どこかで手抜きをしたり、後で費用を上乗せする意図がある可能性を疑うべきです。
不用品回収業者との違い
「不用品回収」と「遺品整理」は似て非なるものです。
不用品回収業者は、単に不要なものを回収・処分することを目的としているため、遺品整理のように故人様の想いやご家族の気持ちに寄り添った丁寧な作業を期待することは難しい場合があります。
遺品整理業者は、故人様の品々を単なる「モノ」として扱うのではなく、一つ一つ丁寧に扱い、貴重品や思い出の品を適切に探索・分別します。
これに対し、不用品回収業者は、効率的な回収を優先し、分別が粗雑になる可能性があります。
また、遺品供養、特殊清掃、ハウスクリーニングなど、遺品整理に特化した付帯サービスを提供しているのは遺品整理業者です。
遺品整理士の資格を持つスタッフが在籍しているのも、基本的に遺品整理業者です。
ご遺族の気持ちを尊重し、故人様の遺品を大切に扱ってほしいと考えるのであれば、遺品整理を専門とする業者を選ぶことを強くお勧めします。
⚠悪徳業者を見抜くポイント
①訪問見積もりをしない
電話やメールだけで見積もりを済ませようとする業者は、現場の状況を正確に把握できていないため、後から追加費用を請求する可能性が高いです。
②契約を急がせる、即決を迫る
じっくり検討する時間を与えず、その場で契約を迫る業者は、良心的な業者とは言えません。
③見積書の内容が不明瞭
「一式」などの曖昧な表記が多く、何にどれくらいの費用がかかるのかが分からない見積書は危険です。
④会社の所在地や連絡先が不明確
フリーダイヤルのみで、会社の住所が不明確だったり、携帯電話の番号しか載せていない業者は注意が必要です。
⑤一般廃棄物収集運搬業の許可がない
家庭から出るゴミを収集・運搬するには、自治体の「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。
この許可を持たずに営業している業者は違法であり、不法投棄などのトラブルに繋がる可能性があります。必ず許可の有無を確認しましょう。
5. 遺品整理を依頼する前の準備と注意点
遺品整理をスムーズに進めるためには、業者に依頼する前にいくつか準備しておくべきことがあります。
事前に確認しておくべきこと(貴重品の有無、形見分けの希望など)
貴重品の探索
現金、通帳、印鑑、有価証券、権利書、貴金属、骨董品、思い出の品など、故人様が大切にしていたであろう貴重品は、事前にご家族で協力して探しておくことを強くお勧めします。
特に、金庫の中身や隠し場所がないか、念入りに確認しましょう。
ご自身で探しておけば、業者による探索費用を抑えることも可能です。
形見分けの希望
故人様の品を誰が何を引き取るのか、事前にご家族で話し合っておきましょう。
形見分けする品には、付箋を貼るなどして明確に区別できるようにしておくと、業者もスムーズに作業を進めることができます。
処分してはいけないもの
故人様が大切にしていたもの、個人的な書類、写真、アルバムなど、ご家族にとって重要な意味を持つものは、誤って処分されないように事前に取り分けておきましょう。
写真撮影
遺品整理前の部屋全体の写真を撮っておくことをお勧めします。
万が一、後で業者とのトラブルがあった際の証拠になることもあります。
必要な書類の準備
遺品整理業者によっては、作業前に身分証明書や、故人様との関係を証明する書類(戸籍謄本など)の提示を求められる場合があります。
また、遺品の売却や名義変更などが必要な場合は、別途様々な書類が必要になりますので、事前に確認しておきましょう。
近隣住民への配慮
遺品整理作業中は、大型のトラックが駐車したり、作業員が頻繁に出入りしたりするため、近隣住民にご迷惑をかける可能性があります。
作業開始前に、ご近所の方々に一言挨拶をしておくと良いでしょう。
作業の目的や期間を伝えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
また、早朝や深夜の作業は避け、騒音が出やすい作業は日中に行うなど、時間帯にも配慮し、共有部分や通路に荷物やゴミが一時的に置かれることで、通行の妨げにならないよう注意が必要です。
6. よくある質問(Q&A)
遺品整理に関して、お客様からよくいただく質問とその回答をまとめました。
Q1:遺品整理はいつ頃行うのが良いですか?
A1.明確な時期の決まりはありませんが、一般的には四十九日法要や一周忌の節目で行うことが多いです。
ただし、賃貸物件の場合、家賃が発生し続けるため、できるだけ早く行う必要があるでしょう。
ご自身の気持ちが落ち着き、ご家族で話し合える時期が最も良いタイミングです。
Q2:遠方に住んでいても依頼できますか?
A2.はい、多くの遺品整理業者は遠方からのご依頼にも対応しています。
鍵の受け渡し方法や、作業中の連絡手段(電話、メール、写真報告など)について、事前に詳しく相談・確認しましょう。
作業完了後の写真報告や、オンラインでの打ち合わせに対応している業者を選ぶと安心です。
Q3:思い出の品や貴重品はどのように扱われますか?
A3.信頼できる遺品整理業者は、故人様の思い出の品や貴重品を非常に丁寧に扱います。
事前にご家族からヒアリングを行い、探してほしいものや残してほしいものリストを作成し、作業中に発見した場合はすぐに報告してくれるはずです。
契約前に、貴重品の探索方法や、発見時の対応について詳しく確認しておきましょう。
Q4:遺品整理後に残ったゴミはどうなりますか?
A4.遺品整理業者が回収した不用品は、適切に分別され、法令に則って処分されます。一般廃棄物、粗大ゴミ、家電リサイクル品、産業廃棄物など、種類に応じて専門の処理施設へ運ばれます。
不法投棄などを防ぐためにも、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ信頼できる業者を選ぶことが重要です。
Q5:費用の支払い方法について教えてください。
A5.支払い方法は業者によって異なりますが、現金払い、銀行振込が一般的です。
一部の業者ではクレジットカード払いや、分割払いに対応している場合もあります。
契約時に、支払い時期(前払い、作業完了後など)と支払い方法について確認し、書面に残しておくことをお勧めします。
「まとめ」
後悔しない遺品整理のために
亡くなったご家族の遺品整理は、肉体的にも精神的にも大きな負担を伴う作業です。
しかし、故人様との思い出を整理し、新たな一歩を踏み出すための大切なプロセスでもあります。
プロの遺品整理業者に依頼することで、ご遺族の負担を軽減し、適切な形で遺品を整理することが可能になります。
この記事でご紹介した費用相場や適正価格の見極め方、業者選びのポイントを参考に、ご自身に合った信頼できる業者を選び、安心して遺品整理を進めていただければ幸いです。
故人様が残された品々が、これからも大切な思い出として、ご遺族の心に残り続けることを心より願っております。